公開日 2023年03月28日
ふれあい座談会で「絵手紙教室」を訪問しました。座談の前に、臨時の生徒になりました。画題は「リンゴ」、書き添える文章は、子どもの頃の思い出など自由です。
まずは、リンゴを前にして下絵。使うのは鉛筆ではなく、黒色のペンで輪郭を描きます。次にパレットに乗った各色の水彩絵の具を水で溶いて筆で色を塗ります。絵は幼い頃から一番苦手、講師の「描くプロセスを楽しめばよい」というアドバイスに助けられ何とか完成させました。自らの思うままに描く絵手紙は、想像以上に解放感がありました。受講生の皆さんも教室に来ると楽しくて元気になるそうです。
今は、パソコンの時代、カラフルなリンゴの絵や写真も使え、文字も好みの書体を選択でき、作品はずいぶんと立派になります。しかし、絵手紙は、題材を目の前で見つめ、時には触れ、自分の気持ちを込めて描くので、出来上がった作品の巧拙はともかく、愛着のあるものとなります。
年賀状も最近はパソコンソフトで作成することが多いようです。若い人は、郵便ではなく、メールでやり取りしているのかもしれません。時折、直筆での絵手紙や版画での書状をいただくと、相手の近況や心情が絵柄から推しはかられます。
就職した当時、公務の通知文書を鉄筆とガリ板を使い原稿を作成、手製の謄写機で一枚ずつ印刷しました。原稿を書き損じると最初からやり直し、おまけに字は下手で完成品も見栄えは悪い。でも起案から印刷、発出まで自作という達成感と直筆は残ります。
絵手紙は、はるか昔のことを思い出させてくれました。帰宅後、絵手紙をパートナーへ、「これがリンゴなの」と予想どおりの反応。自らの発想や技量で自分が表現できる趣味を持ちたいものですが…。
(市報なかつ令和5年4月1日号掲載)