公開日 2024年03月11日
福澤諭吉先生の命日の2月3日、慶應義塾大学名誉教授の小室正紀さんの「分権論」の講演を聴講しました。小室さんは慶應義塾で教鞭をとりながらも若い頃は福澤先生への関心はそう深くなかったそうですが、今や先生のとりこになって研究をされているそうです。福澤の「分権論」をわかりやすく、現代的意義も含めて語ってくれました。
「国の権力には、政権と治権の2権がある。政権は、法律の制定、軍事、外交、通貨管理を行い、治権は、住民の身の回りに関することを行う権利である。政権は中央に集中させるが、治権は地方に分散させるべきである。強大な中央集権は人々を姑息にする。文明の進歩のためには治権を分けることが重要である」。明治の時代に福澤先生はこのように地方分権を主張した先駆者です。
「分権論」と言えば、地方分権を声高に推進した人が、元大分県知事の平松守彦さん。私も薫陶を受けました。著書『「日本合衆国」への道』に、福澤諭吉の「分権論」を引用し、地方分権を日本で最初に唱えたのが福澤諭吉であると紹介、自らも「九州府構想」を提言、道州制を目指しました。
地方行政に携わること40数年、私にとっても「地方分権の推進」は、若い頃からの重要テーマです。「人口減少・東京一極集中」という大きな流れからの脱却も地方分権は大いに関連します。処方箋の一つでしょう。平成7年「地方分権推進法」が制定、その後、国の権限の分権はある程度進みましたが、財源の方は依然地方は乏しく、中津市も「3割自治」を脱却できないのが現状です。
先生は自分が生きている間は、分権はできないだろうと予言。残念ながら、先生没後123年経った今も、その実現への途上です。「先が見えすぎた巨人」に早く報告できるよう、地方も頑張らねばなりません。
- 画像提供(公財)福澤旧邸保存会
(市報なかつ令和6年3月15日号掲載)